「てんてんくらぶ」参加のお奨め  

                                      元県立高校校長 池田博男

「てんてんくらぶ」への参加を小中学生の保護者の方々にお勧めしたいと思います。学校教育では、「生きる力」を育むために、自立を支援する、様々な取り組みをしていますが、高校教育に携わった者として、特に、義務教育段階における「読み書き計算」能力のレベルアップを期待しています。とりわけ、語彙力の不足は深刻です。
学力の基礎は、「国語力」です。それが、高校進学率の向上とともに、十分に身に付いていない生徒の増加となり、授業に支障をきたす学校も、でてきている現状があります。
とにかく、文章を読めない、書けない、では、学校生活だけではなく、社会に出てからも壁にぶつかること必定です。
保護者の皆さんのなかには、お子さんの目先の成績に拘泥される方も多いのですが、本当の学力は、物事に関心を持つことと、知識を深める術を習得することにより、身に付いてくるものです。学校でのいい授業は、その両方を満たす授業です。また、保護者の方の、社会人としての姿勢も重要です。「親の背中」は、驚くほど子供は見ています。
「学ぶ姿勢と考える習慣」を身に付けるということは、一生の宝となり「生きる力」に直結します。高校卒業時に、新聞を読みこなせる力がある、ということを、ひとつのメルクマールにしていけばよいと考えています。
学校改革の方向性は、国際化時代を反映して、英語教育や道徳教育の強化に進んでいますが、子供たちの状況をつぶさに見てきた者として、むしろ国語力の涵養の方が喫緊の課題であるとさえ感じていました。
そういうなかにあって、「てんてんくらぶ」の設立趣旨は、まさしく、今の学校教育を補完するものとして、時機を得た取り組みと言えます。
これからの時代、相手の意図するところを正確に理解し、自分の考えをわかりやすく相手に伝える能力、はとても大切です。
そういう時代を反映して、6年後からは大学入試制度も変更され、おそらく記述することが多くなるでしょう。従来のややもすると記憶力だけを問う入試は、変わらざるをえません。
人間は、言語で考えます。言葉を知らないということはその概念がないことを意味します。「学ぶ姿勢・考える習慣」は言語力の向上を通じてしか獲得できません。そして、巷間、話題になっている時事問題に触れることによって、お子さんは、興味関心を持つ事象が、増えてくるでしょう。面白いことができれば、子供は自発的に勉強するものです。
「てんてんくらぶ」が、そういう「多様な教育の場」を提供してくれることを期待しています。